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PDF のメタデータ(作成者・作成ソフト・編集履歴)を消す
2026 年 10 月 2 日公開 · Tekiba
要点:PDF の見えない部分には、作成者の名前、作成したソフト、作成日時と更新日時、タイトルやキーワードが入っています。置き場所は「文書情報」と「XMP メタデータ」の 2 か所で、片方だけ消しても、もう片方に残ります。さらに文書 ID と、増分更新で残った以前の版もあります。RedactDrop はページの描画に要るものだけでファイルを作り直すので、これらはまとめて外れます。送る前に、文書のプロパティと pdfinfo で確かめてください。
PDF のメタデータはどこにあるか
PDF の仕様(ISO 32000-1)では、文書そのものについての情報を置く場所がいくつも決まっています。
- 文書情報辞書(Info)。タイトル(Title)、作成者(Author)、サブタイトル(Subject)、キーワード(Keywords)、元の文書を作ったアプリケーション(Creator)、PDF に変換したソフト(Producer)、作成日時(CreationDate)、更新日時(ModDate)などの項目です(14.3.3「Document Information Dictionary」)。作成者欄には、パソコンのユーザー名がそのまま入っていることがあります。
- XMP メタデータ。同じような情報を XML で書いたもので、文書全体に付けられます(14.3.2「Metadata Streams」)。作成や編集に使ったソフトの記録などが入っていることがあります。Info を消しても、XMP に同じ作成者名が残っていることがあります。
- 文書 ID。ファイルの末尾(トレーラー)にある 2 つの識別子で、同じ文書の版を見分けるのに使われます(14.4「File Identifiers」)。
- 以前の版。PDF は、変更をファイルの末尾に追記して保存できます(7.5.6「Incremental Updates」)。追記のたびに新しいトレーラーと
%%EOFが足されるので、書き換える前の文字や情報が、ファイルの前のほうに残っていることがあります。
このほか、ページに見えない情報としては、添付ファイル、しおり、コメント、フォームの入力内容、置換テキスト(ActualText)などがあります。黒い四角が文字を消さない理由は、黒い四角を重ねただけでは黒塗りにならない理由で説明しています。
何が分かってしまうか
作成者の名前のほかにも、見えない情報から分かることがあります。作成アプリケーションと変換ソフトの名前からは、どんなソフトで作ったか、社内でどんな環境を使っているかが分かります。作成日時と更新日時からは、書類をいつ作り、いつ直したかが分かります。以前の版が残っていれば、直す前の文言や数字そのものが読めることもあります。見積書や契約書の案を社外に出すときほど、本文だけでなく、こうした情報にも目を向ける価値があります。
確かめ方
閲覧ソフトの文書のプロパティ。Acrobat Reader などの閲覧ソフトでは、「文書のプロパティ」でタイトル、作成者、作成アプリケーション、PDF 変換ソフト、日付を見られます。表示されるのは主に文書情報で、XMP の中身すべてではありません。
pdfinfo。Xpdf の無料のコマンドラインツール pdfinfo は、文書情報辞書の内容(タイトル、サブタイトル、キーワード、作成者、作成アプリ、変換ソフト、作成日時、更新日時)を表示します。-meta を付けると XMP メタデータを、-custom を付けると標準以外の文書情報の項目を表示します(pdfinfo のマニュアル)。
$ pdfinfo -meta -custom 送る前の書類.pdf
表示された項目をすべて見てください。作成者とタイトルが空でも、サブタイトルやキーワード、-custom で出る標準以外の項目、-meta で出る XMP に、名前や社名が残っていることがあります。確かめられるのは、見た項目についてだけです。以前の版については、ファイルをテキストとして開いて %%EOF が 2 回以上出てくるなら、増分更新で版が重なっている可能性があります。
消し方
Adobe Acrobat Pro には、メタデータ、コメント、非表示のレイヤーなどの隠れた情報をまとめて取り除く「サニタイズ」の手順があります(Adobe: Sanitize PDFs)。
RedactDrop は、消すものを探して取り除くのではなく、ページの描画に要るものだけで新しい PDF を作り直します。文書情報、XMP メタデータ、文書 ID、構造ツリーと ActualText、注釈、フォーム、しおり、添付ファイル、スクリプト、以前の版は、初期設定ではすべて入りません。黒塗りのページで、消す語を入力せず、矩形も描かずに「黒塗りして確認」を押すと、ページの文字や画像はそのままで、これらを外した PDF ができます。ただし、フォームに入力した値やコメントは、初期設定では新しいファイルに入りません。見た目を残したいときは、「新しいファイルに残すもの」で、フォームとコメントの見た目をページに描き込んで残すことを選べます(データは残らず、ファイルに見た目が保存されていないものは残りません)。できたファイルは、ページを目で見て確かめてください。結果の画面には、元のファイルにあって新しいファイルに入れなかったもの(たとえば「文書情報(タイトル・作成者・日付)」「XMP メタデータ」「以前に保存された版(増分更新)」)が並びます。リンク、しおり、フォームやコメントの見た目は、選べば残せます。
新しいファイルは、開き直して確認してから出します。確認の結果は「検証済み:一致の残り 0 件、メタデータ 0 項目、注釈 0 件。」のように、何を調べて何が見つかったかで示します。
ファイル名と、ページの中
メタデータを消しても、ファイル名に氏名や会社名が入っていれば、そのまま伝わります。送る前にファイル名も見直してください。また、ヘッダーやフッター、透かしとしてページに描かれた名前は、メタデータではなくページの中身です。これは語として入力して消します。
メタデータだけを外すなら、語を入力せずに実行します。黒塗りのページを開く
よくある質問
文書のプロパティで作成者を消せば十分ですか?
足りないことがあります。作成者などは文書情報と XMP メタデータの 2 か所に入ることがあり、片方を消してももう片方に残ります。以前の版が増分更新でファイルに残っていることもあります。
メタデータが残っているかは、どう確かめますか?
閲覧ソフトの文書のプロパティを見て、pdfinfo があれば pdfinfo -meta -custom で文書情報と XMP を表示します。
RedactDrop でメタデータだけを消せますか?
消せます。消す語を入力せず、矩形も描かずに実行すると、ページの文字や画像はそのままで、文書情報、XMP、文書 ID、以前の版などを外した PDF を作ります。フォームに入力した値やコメントは初期設定では入らないので、見た目を残すかは「新しいファイルに残すもの」で選び、できたファイルを目で確かめてください。
ファイル名は変わりますか?
ダウンロードするファイル名は元の名前に -redacted を付けたものです。元の名前に個人名などが入っていれば、送る前に変えてください。